| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 「Mr.インクレディブル」や「アイアン・ジャイアント」よりもパワーダウンしたという人もいるみたいだけど、俺は結構好きだ。
まあアレだ。ネズミが好きなら超オススメです。 顔はデフォルメされてアニメ的な可愛いさはあるが、動きや質感はネズミそのものなのでネズミ嫌いの人は失神しかねいほどネズミが厨房に溢れかえります。逆にネズミ好きには天国じゃね? そんな事よりも、実際にフランスに飛んで地元のレストランで講習を受けた下調べ、20ヶ月足らずで設定や脚本を練り直して完成に漕ぎ付けたブラッド・バードにエールを送りたい。 厨房の空気、レストランの雰囲気、それにあの美味そうな飯、飯、飯! さすがは「トイ・ストーリー3」でもスタッフの一人とはいえ手腕を振るったバードだけある。 映像だけでなく、劇中で描かれる人物像もジャン・ルノワールの「大いなる幻影」といった孤高の魂を思い出すような描写。 亡きグストーの名で冷凍食品を売ろうとするスキナー料理長の欲望、女性故か世間的な差別から実力がありながら中々出世できずその苛立ちを他人に向けてしまう女性コレット、また実力が認められ料理を作るもネズミ故に白眼視されるレミー、真実を知りながらも中々本当の事を打ち明けられない見習いリイグイニ、そして評論家として辛口で審判を下すイーゴ。それぞれの葛藤や悩みを他人に打ち明けられない孤独。 その孤独をリイグイニが勇気を振り絞り打ち明ける瞬間が凄い。彼は覚悟を決め、レミーも彼の勇気に応える。コレットも半ば折れた感じだがちゃんと助けてくれる良い女(ひと)っす。 イーゴとレミーたちの“一騎打ち”とも言える料理のやり取り。イーゴがママの味で心から折れる瞬間には震える。レミーがイーゴの母親から作り方を教えて貰ったワケじゃない。レミーの、リイグイニたちの情熱がイーゴの心を動かしたのだから。 リイグイニとレミーの動きはキートンやチャップリンを思い出す動作で爆笑。 最後のイーゴのセリフが素晴らしい。 「厳しい批評は、書く側にとっても、読む側にとっても楽しいものだ。料理人たちが命懸けで作った料理にも、批評家たちは厳しい審判を下す。だが、批評家も時には冒険をする。それは新しい才能が登場した時だ。誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくはない」。 誰もが“おなかをすかせて”出会いを待っているのは確かだね。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-29 23:58:26)
すかあふえいす さんの 最近のクチコミ・感想
|