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《ネタバレ》 シン・ゴジラ(2016年)の公開を機に投稿いたします。
当作品を観たのは、GODZILLA(1998年)が公開されるずっと以前。原子怪獣現わる(1953年)を観た後でした。『太古の巨獣が核実験で目覚める→都市で暴れる→新兵器で倒される…』というストーリーラインこそ、前年発表の米映画『原子怪獣現わる』をなぞったものだとは思ったものの、「反戦/核の脅威への警鐘」といった真摯なメッセージを組み込んで見事にオリジナリティーを獲得していると思いました。 ただし、その後に、私はビデオで怪獣王ゴジラ(1956年)という作品も観ました。これは【来日したアメリカ人記者が、ゴジラに遭遇する】という海外向けの再編集版であり、1作目のメッセージ性を見事に削ぎ落としていました。後年、ある本で海外の書評を読みましたが…「都市の破壊シーンは迫力があるが『原子怪獣現わる』のように、何故、怪獣が現れたのかの説明がない。しょせんは二番煎じであり『原子怪獣現わる』には遠く及ばない」という趣旨の文面に複雑な気持ちになったものです。GODZILLA(1998年)が公開された当時も「1作目と比べてどうか」という評論はたくさんありましたが【日本人が語る1作目】と【アメリカの人々が語る1作目】では、かなりの温度差があると言っていいのではないかと思いました。 さて、採点ですが…当作品の優れた点は、他のレビュアーさん達がおっしゃっているので、私がここで繰り返すまでもないかと思います。日本が生み出した傑作として文句なく10点を献上します。 *令和6(2024)年8月4日(日) 追記 【ゴジラ-1.0】の鑑賞を機に、当作品もDVDをレンタルして観直しました。あらためて、ドラマの映像・演出からは“人々の生活感や温もり”が伝わってくる思いがしました。漁村の場面は勿論、山根博士の自宅の様子も(博士の部屋は、いかにも“研究者の書斎然”としていますが…)、畳を基調とした居間の描写は質素で、いわゆる「庶民とかけ離れた生活をしている」という印象は受けませんでした。このように人々の生活に根差した描写を積み重ねたからこそ、ゴジラがもたらした災害による悲惨さが際立ち、かつ、「オキシジェン・デストロイヤーを、命を奪う兵器として為政者に利用されたくない」と、ゴジラと命運を共にする芹沢博士の姿に説得力を持たせたのではないか…と思われます。もちろん実写の映像自体は、撮影を担当した玉井正夫氏のお力によるものかもしれませんが、本多猪四郎監督に確固たるポリシーが無ければ、こうはならなかったでしょう。あらためて本多監督の誠実な姿勢に敬意を表します。 特殊撮影については、“現在の視点”で観ればチープに映っても仕方ないかもしれませんが…少なくとも私は“当時の現場の人達の試行錯誤に思いを巡らせながら観るという視点”に立つので、「よくぞ、これだけの映像を…」と、円谷英二氏をはじめとするスタッフの皆さんに敬意を表さずにはいられません。 いずれにせよ、原子怪獣現わる(1953年)が元ネタになっているとはいえ、【それに便乗し『その場限りで儲かればいい』と考えて安易に作られた手抜きだらけの作品】ではないことは確かでしょう。 以上、【ゴジラ-1.0】の鑑賞を機に、私は、当作品の偉大さを再認識できました。広島・長崎に原爆が落とされた8月6日・9日に近い日の投稿ということもあり、「唯一の被爆国であり、戦争によって深く傷ついた日本だからこそ生み出すことができた」という当作品の重みを胸に、投稿を締め括らせていただきます。 【せんべい】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2016-08-06 15:13:14)(良:2票)
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