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《ネタバレ》 当作品が、テレビ東京で10/12(木)の昼に放送されたのを機に投稿します。
「製作担当者は、映画会社(20世紀FOX)の意向で、渋々2作目を作ったが、もうこれ以上の続編が作れないように地球を消滅させた。それにもかかわらず、会社の意向で作らされた3作目」…私がこの製作エピソードを知ったのは、ずっと後のことでした。 しかし30年ほど前にテレビ放送で観たときに「無理やり作ったんだろうな」ということは、最初の10分ほどでわかりました。「そもそも1作目でテイラーと地図を見ながら語り合った話だけで、沈んでいたロケットを発見し地球を脱出したというだけで不自然。そもそもマイロ博士って何者?」が率直な印象でした。ただし、その後のコミカルな雰囲気からジワジワと悲劇の後半へ…と、前半と後半の展開が変わるタイプの作品が好きな私は、観ていて悪い気はしませんでした。そして1作目に対応するように「人間とキスするのは、これで2度目よ/僕は初めてだよ」と、ジーラとコーネリアスが、ルイス博士達とキスを交わして別れる場面は、【種族/支配・被支配/時の流れ】という垣根を超えて、確かな友情を結べたことを示唆する名場面だと思います。キスの後に二人と赤ん坊がが遠ざかっていく姿から、その後に待ち受ける悲劇を予感したのは私だけではないと思います。また「人間が他の動物に支配されるようになるのが神の御心なら、それでもいい」と言う善良なサーカス団長アルマンドを演じたリカルド・モンタルバンについても、【スタートレック2/カーンの逆襲:1982年】の復讐に燃える優性人間カーンよりも、こちらの役のほうが、私は好きです。 このように、無理やり作ったと直感した時点で、私は【番外編】と割り切っているのですが…今回、あらためてテレビ放送の録画を観て感じた不満は、以下の2つです。 一つ目は、初見からずっと違和感があるのですが【猿が台頭していく歴史を、コーネリアス達が説明する場面】についてです。むしろ「発掘現場を爆破されたので、台頭した理由は調べようがなかった。ザイアス議長によると、かつて楽園だった禁断の地を、人間が砂漠に変えてしまったということしかわからない…」と1作目の状況を述べるだけでも十分だったと思います。そしてハスレインに「そうか、わかったぞ…お前達が、未来からやって来たのが始まりなんだ。人類が核戦争で衰退するからといって、お前達の子孫に取って代わられるなんて許せない。今、私がお前達を葬り去ることで、忌まわしい未来を変える」と言わしめるほうが、良かったのでは…と思うのです。そうすれば観客は「未来を変えるなら、核戦争が起こらないように尽力するほうが大切では?」と、ハスレインの動機が差別・偏見による理不尽なものだと、より明確に伝わるでしょうし、アルマンド団長の上記の言葉も一層、活きてくると思います。 二つ目は「ゴリラは攻撃的/チンパンジーは平和主義/猿は猿を殺さない」という動物観についてです。ご存知の方も多いかと思いますが、現在の研究・調査で、猿は猿を殺すことが知られています。チンパンジーは他の群れを襲って相手を殺す攻撃性を持つことが報告されています。 一方、ゴリラは、胸を叩くドラミングなどを通じて、他の群れに自分達の存在を伝えながら距離をとり、できるだけ戦いを避けようとするそうです。現在、ゴリラは「気が優しくて力持ちの繊細な動物」としてアメリカでは自然保護の象徴的存在になっているようです。ただし、そのゴリラもチンパンジー同様、いわゆる【子殺し】が確認されているそうで…。もっとも、このようなことばかりを言ってしまったら、「猿は猿を殺さない」という当シリーズ(及び、2011年以降に製作されているリブート版)の根本を揺るがしかねないかもしれませんが…。 さて、採点ですが…私にとっては【番外編】として、こじんまりと手堅くまとまっているという意味で7点を献上します。 ところで、4作目・5作目は、この3作目で語られた【猿が台頭していく歴史】をベースにしています。上記の通り、私はこの【歴史】に不満なのでレビューは控えさせていただきます。しかし、リブート版を創るインスピレーションを産みだす基になっているようなので、映画史的な意義はあるのでしょう。ただ、私はふと思うのです。「もし、作り手の予定通り1作目で完結していたとしたら、リブートシリーズは、どのようになっていたのか?」…もし、あり得るなら、個人的には【人類の文明が滅んだ後に生き残った猿達が、過酷な環境で少しずつ進化を遂げ、人類の残した言葉や文化を受け継いで、地球を再生していく…】という地道な作品を望みます。 【せんべい】さん [地上波(吹替)] 7点(2017-10-22 19:04:40)
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