思い出のマーニー の しってるねこのち さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > オ行
 > 思い出のマーニー
 > しってるねこのちさんのレビュー
思い出のマーニー の しってるねこのち さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 思い出のマーニー
製作国
上映時間103分
劇場公開日 2014-07-19
ジャンルファンタジー,アニメ,ミステリー,青春もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 内向的で自己嫌悪の強いローティーンのあまり可愛くない主人公の女の子には好感が持てました。
自分に通ずる所が少なからずあったからだと思います。

彼女がどの様に、また、どの程度変わっていくのかという話なのは明白なのでその辺りに注目しながら観ていました。
杏奈の自己嫌悪による孤独、孤独を受け入れる事での対人否定、それによる苦悩等は痛みとして伝わってくる程の描写だったと思います。
マーニーが出てくる世界と現実の世界のあやふやな境界の表現などは良かったと思いますし、マーニーと会っているうちに少しずつですが杏奈に表情が戻り、他人と自然に言葉が交わせるようになっていく行程は丁寧に描かれていたと思います。

しかし、置いて行かれる事にトラウマとも言える程の拒絶感を持っている杏奈がサイロでマーニーに置いて行かれた事を何故許す事が出来たかという心理的描写や論理的理由が無かったように思えます。
『ふとっちょブタ』と罵られた相手が手打ちにすると言ってきた提案を許す事が出来なかった彼女が、それとは比にならないくらいの事柄と大事な相手に対して許したのなら『ふとっちょブタ』事件からのそれに見合った大きな成長がなくてはいけないと思いますが、そのような大きな成長過程は描かれていない為に、杏奈と作品自体にかなり重要なターニングポイントとなるこのシーンに全く説得力を感じる事が出来なくなってしまっています。

この辺りから不安定な10代の主人公を繊細な描写で描いていた前半の良い雰囲気は姿を隠して杏奈とマーニーのドラマティックな関係を紐解く事に軸足が移ってしまいます。
また、肉親関係にした為に2人が出会う事に運命的な必然性が生まれて遅かれ早かれ、なるようにしてなったという予定調和的な話になってしまい、物語としての不確定要素による緊張感が薄れて、閉じた世界の他人の家(ひとんち)の話になり最終的には客観視で捉えてしまう割合が大きい作品になってしまった印象で私としては残念でした。
個人的には杏奈とマーニーは似たような境遇を違う立場で経験した他人の方が良かったと思います。
しってるねこのちさん [地上波(邦画)] 7点(2015-12-29 21:26:59)(良:2票)
しってるねこのち さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2021-04-03南極料理人7レビュー6.88点
2016-06-24シェルブールの雨傘3レビュー7.57点
2016-06-20スケアクロウ9レビュー7.20点
2016-06-14第三の男5レビュー7.53点
2016-06-14鴛鴦歌合戦9レビュー8.13点
2016-01-07犬神家の一族(1976)6レビュー7.49点
2015-12-29思い出のマーニー7レビュー6.03点
2015-12-29桐島、部活やめるってよ7レビュー7.19点
2015-12-23ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON4レビュー6.01点
2015-12-13THE 有頂天ホテル4レビュー5.80点
思い出のマーニーのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS