幕末 の しってるねこのち さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 幕末
 > しってるねこのちさんのレビュー
幕末 の しってるねこのち さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 幕末
製作国
上映時間120分
劇場公開日 1970-02-14
ジャンル時代劇,歴史もの,伝記もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 カチッ………カチッ…、と壊れたメトロノームの様に悪いテンポで話は進んでいきます。
「幕末」というタイトルからスケールの大きな群像劇かと思いきや「竜馬がゆく」を原作にした坂本竜馬主人公の物語でした。
それにしても作品からは混沌とした幕末という時代にあったであろう勢いやパワー、竜馬に対して抱いているイメージの人間的な魅力や不屈の行動力等は殆ど感じることはできませんでした。
イベントが掃いて捨てる程ある時代に全てを詳しく描けないのは当然ですが、竜馬を主人公にしているのでしたら勝海舟との会談で彼に傾倒する過程や、薩長同盟締結の理由と推移等はもう少し丁寧に描いて欲しかったですが、出来事の表面だけをあっさりと流した感じは残念でした。
それに加えて役者さん達の演技はかなり大袈裟で悪い意味での迫力任せに見えました。
クローズアップが少なかったのでそれ程暑苦しくはなりませんでしたけど、作品の為というより役者さんが個人プレーに走ってしまった様な印象でした。
また、カメラワークやカット割り、編集のタイミング等もマイナスの要因だったと思います。

関ヶ原の戦い以降に長宗我部に代わり山内が治めた事により他藩に比べ上士と郷士に大きな隔たりがあったというよりも、差別的とも言える対立が存在した土佐藩で、商人の饅頭屋近藤長次郎が仲間である筈の亀山社中の郷士から切腹を強要されるのは、それなりの理由があったとしても興味深い出来事でした。
かつての南アフリカでの英国白人とアフリカーナーと原住民の関係を彷彿とさせられる様な苦々しさを感じました。
差別から逃れる為に別の差別を生む構図は、四民制度の中でヒエラルキーの頂点の武士でも上士に差別されている郷士が持っているであろう人間の弱い本質を見せられている様でした。
その為、近江屋の二階で中岡慎太郎が四民の中で武士だけは特別だというのに対して、武士を含めた四民制度を壊す事を強く主張する竜馬の台詞は救いになりました。
しってるねこのちさん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-19 00:19:35)
しってるねこのち さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2021-04-03南極料理人7レビュー6.90点
2016-06-24シェルブールの雨傘3レビュー7.57点
2016-06-20スケアクロウ9レビュー7.20点
2016-06-14第三の男5レビュー7.54点
2016-06-14鴛鴦歌合戦9レビュー8.13点
2016-01-07犬神家の一族(1976)6レビュー7.50点
2015-12-29思い出のマーニー7レビュー6.02点
2015-12-29桐島、部活やめるってよ7レビュー7.18点
2015-12-23ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON4レビュー6.02点
2015-12-13THE 有頂天ホテル4レビュー5.80点
幕末のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS