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《ネタバレ》 ずいぶん生真面目な映画だなぁと思ったら監督さんは「キッズ・オールライト」(2010)の脚本を書いた方なんですね。う~む、とっても論理的な人って気がする、この人。
それにしても世の中どんどん複雑になっていくもんだ。セックス依存症ってなんじゃらほい(笑)。まぁ、現実に悩み苦しんでいる患者さんがいるのでしょう。この映画はそんな人々を決して奇異な目ではなく、真摯に見つめていて好感が持てる。 「キッズ・オールライト」もそうだったけど、マイノリティ(と呼ばれる人々)の生きる姿をそれ以上でもそれ以下でもない「普通の」人々として描いているのが良いと思う。 主人公は、セックス依存症と闘っているアダム。大好きなマーク・ラファロが演じているので、おばさん複雑な思い(苦笑)。でも、もう何年もセラピーに通い、ずっと依存を断ち切って禁欲生活を続けているので、セラピーグループの中ではエリート的な存在。それにしても、こんな理知的な男性がねーと不思議に思ってしまう。この人なんか別に性犯罪に走るでもないし、きちんと仕事もしてて一体何が問題なんだろう?と逆に疑問。女遊びが激しいのはビョーキなのか?(笑) で、彼が出会う女性フィービー(グウィネス・パルトロウ)はものすごく健康的。毎日運動して食事制限して、何と言うかもう「節制」の鬼。友人宅のディナーに招待された時も、主人がサーブしてくれてる側から「そんなに食べないから!自分でやるわ!」と言い放ってしまう女性。この辺の描写がなかなか考えさせられる。健康ってなに?病気ってなに? フィービーという女性も「健康であらねば」という脅迫観念にとりつかれてるように私には見える。 要は、誰もが完璧じゃないけど、それでも自分がそうありたいと願う自分に少しでも近づこうと努力する姿は尊いよね、ってそんな話。長い間「欲望」を押さえ込んできていても何かのきっかけで決壊してしまう、依存症の恐ろしさが良く分かるのだけど、こういうのって文化的な背景の影響も大きいような気がします。欲望を断罪するキリスト教的な価値観がベースにあって、それなのに欲望を喚起する情報やサービスが氾濫してるからビョーキになっちゃうんじゃないかな~、なんて。マッチポンプ的というか。 お菓子の袋を開けると途中でやめられなくなって、最後の方は大して美味しいとも思わずに食べきってしまう自分なんか、ホント自制心のない奴なので、ちょっと身につまされました(苦笑)。 【ポッシュ】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-07-31 19:08:05)
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