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《ネタバレ》 前半は完全に伊藤沙莉の話だが、後半からはサブキャラの話も出てきて、群像劇の様相を呈する。生きていくための居場所を求めて藻掻く人々を描くことがテーマであるが、ひとつ引っかかるのは、今作が明確にコメディを意識してつくられていることである。この手の「どん底」を描く作品として、リアリティを犠牲にして笑いを挿入することに意味はあるのだろうか。個人的には不良絡みのシーンはどれもコメディにしか見えなかったし、あと深い意味でのリアリティという意味では、例えば愛衣が一般家庭に受け入れられ、そして拒絶されるシークエンスの諸々はどれもかなり嘘くさい(そこまで言わないとしても、少なくとも表面的だ)という印象を受けた。率直に、今作は演出のコンセプト面であまり共感できない、というのが私の結論。
ただそうは言っても、鑑賞中はかなり引き込まれて観ていたのも事実(特に前半。私はこの手の『カビリアの夜』とか『マル秘色情めす市場』ぽい話は大好きなのですよね)。そしてそれは確実に、俳優陣の演技の出来の良さがあってのことだと思う(言うまでも無く、伊藤沙莉は出色の出来だったかと)。観れるか観れないかでいったら、確実に「観れる」レベルのクオリティは整っており、更に共感に至るかは、個々人の好み・ポリシー次第かという映画に思う。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 5点(2020-04-20 00:26:24)
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