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《ネタバレ》 ナチスのホロコーストというと、ユダヤ人の悲劇が思い浮かぶ。だが、この作品では、ポーランド人でホロコーストの標的にされながら、何とか生き延びた女性が主人公であり、その生死の分かれ目を決めた「選択」とは何であったのかという回想を通して、ナチスの非人道性、異常性を浮き彫りにする。回想と現在とでソフィー役のメリル・ストリープの容貌が別人のように異なるのには全くたまげてしまう。
だが、どうしてもそれ以上に脳裏に焼き付いてしまうのが精神障害をもつネイサンの存在である。逆上した時も平常心の時も、ひたすらケヴィン・クラインが怖すぎる。この作品で初のオスカーを獲ったストリープといえども、正直言って、クラインとの絡みでは刺身のツマになってしまうほどのインパクトが彼にあるので、これは演出のさじ加減が間違ったというべきか。 深々と胸に刺さる、素晴らしいヒューマン・ドラマであるのは確かであるが、どうしても拭えない疑問がある。それは、あれほどの過酷な「選択」を経て自らの命を守った彼女が、なぜさんざん振り回されてきたネイサンと添い遂げることを最後の「選択」にしたのか。いよいよ発狂した彼に殺されるという恐怖のなか、何度も救いの手を差し伸べてくれた好青年のスティンゴの誘いを拒んでまで、ネイサンの下に戻って仲睦まじく最期を迎えるという結末は、彼女がネイサンのどこにそこまでの魅力を感じているのかが語られないため、モヤモヤしたものが残った。いかんせんホロコーストという肝心な主題との結合性がみえない結末になった感がある。まあ、そこはまだ自分の解釈が甘いのかもしれないが。 【あやかしもどき】さん [DVD(字幕)] 9点(2020-07-09 20:32:33)
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