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《ネタバレ》 2度目の鑑賞になる。
東北の寒村で生まれ育ち、東京に出て女工となった女が不倫、新興宗教、売春経営・・・と次々と身を持ち崩していくかにみえて、図太くがめつく生きていくさまを激動の近現代史を反映しつる描く力作。 泥水をすすり、血を吐いて七転び八起きの人生を歩んできた主人公・とめだが、そこは今村作品だけにそれほど悲壮感はなく、むしろユーモラスささえ醸し出しているのは、左幸子の飄々として太々しい存在感に負うところも大きい。 せわしない商業主義の下、大の大人たちが騙し騙されというまさに生き馬の目を抜く都会の人間模様。それは明治大正あたりで時計の針が止まってしまったような前近代的な風土の色濃く残る(近親相姦も含めて!)、とめの故郷との絶妙なコントラストになっている。 そして魑魅魍魎のひしめく都会に母を追って出てきた信子が肉体を武器にパトロンからまんまと大金をせしめ、自分の夢を実現する資金に充てる。つまり、世間を出し抜くという点で一番上手をいったのが、ウブな小娘であった信子というのも面白い皮肉である。 こうして、いかに人間が欲深くて往生際の悪い「動物」であるかを赤裸々にえぐり出すことで、とどのつまりはタイトルにあるように「昆虫」並みに地を這うかのごとくしぶとく生息している存在なのだという痛烈なメッセージはしかとインパクトを放って、脳裏に焼き付く。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 10点(2025-01-16 01:23:05)
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