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《ネタバレ》 頂点を極めたアクションスター・スタローンが、ライバルのシュワルツェネッガー人気にどんどん後れを取っていき、一番迷走していた時の作品です。マンネリ、不人気、低迷…何を撮ってもダメな時期に、恐らく起死回生の意味で、自身をスターダムに押し上げた『ロッキー』の続編を投じてきました。
自身が活躍するスーパーヒーロー路線は頭打ちなので、原点回帰を図るヒューマンドラマ路線にしました。監督もアビルドセンを起用し、年齢から、自身が戦うのではなく、トレーナーとして若手を育てるドラマに方向転換してきました。 あの時期にこの映画を、ロッキーⅣの続編を、スタローンの新作を、誰が観たいと思ったんでしょうか? ロッキー・シリーズと言えば、掴んだものを失って、また這い上がってくるのがパターンです。掴んだ大金、父親代わりのミッキー、ライバルにして親友のアポロ。そして今度は…。財産という意味ではⅡと被りますが、Ⅴでロッキーが失ったのは“アメリカンドリーム”でした。 ロッキー=アメリカンドリームと言っても過言ではない存在なのに、ロッキーこそみんなが憧れる成功者のモデルなのに、あんな一瞬で、あんなアッサリと掴んだ成功の全てを失ってしまったことに、このシリーズ全体さえ、虚しさに近いものを感じてしまいました。ロッキーが這い上がるための障害と言えば聞こえは良いけど、今回の破産は、映画の制作側の御都合主義にしか思えません。またペットショップで働きだすエイドリアンなんて、もうコントです。こんなロッキーの最後を、誰が観たいと思ったんでしょうか? ロッキー達は昔の安アパートに住み、ミッキーの残したジムで、才能ある若者トミーを育てます。だけどどうにも彼に魅力を感じません。スパーリングでガンガン行くファイトスタイルも、デュークに丸め込まれてロッキーを捨てるのも、マスコミに認められないからってロッキーに対決を求めるのも、トミーのやってる事の全部が嫌いです。生まれた環境の悪さがチラッと出てきましたが、それ以上の掘り下げが無く、彼に魅力を感じる要素がゼロでした。 そして、着々と勝利を重ねて、遂にケインに勝ってチャンピオンになったトミー。彼を全否定するマスコミは、ある意味私たちの留飲を下げてはくれますが、一方でトミーの掴んだアメリカンドリームを批判しています。ロッキーで言えば、Ⅲでミッキーが仕組んだ好カードで連戦連勝し、強敵クラバーにも勝った状態が、今のトミーです。それを認めないマスコミって、何なんでしょうかね?こんなアメリカンドリームの終焉なんて、誰が観たいんでしょうね? 最後は八つ当たりで喰って掛かるトミーと、ポーリーを殴られて怒ったロッキーのストリートファイトです。殴る、蹴る(!?)、投げ飛ばす(!!)。ボクサー同士の戦いとは思えません。死闘の末トミーを倒すロッキー…。…だから何だってんだ!? ここが映画の中盤で、またトミーと組んで頂点を目指すとかなら良いさ。でもジュニアとの信頼を取り戻しておしまい。って、そもそもトミーが居なきゃ、ロッキーが変にトミーに肩入れしてなきゃ、もともと家族仲は悪くなかったじゃない。この場に及んでトミーに勝ったからって、どうだってんだ?? この後もスタローンは、スター街道を転げ落ちていきます。虎の子の『ロッキー』をこんな作品にしてしまい、どんどん迷走していきます。こんなスタローン、いったい誰が観たかったんでしょう? 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 3点(2025-02-04 22:48:07)《新規》
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