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《ネタバレ》 漫画、OVA、そして映画とそれぞれ微妙に違う世界を展開する、メディアミックス作品のパトレイバーですが、私の中では一番最初に触れた漫画版がオリジナル扱いです。なので、OVAでイングラムをアルフォンスと呼ぶも、おタケさんじゃなく香貫花なのも、違和感を感じてました。
劇場版は“押井監督版パトレイバー”のカラーが強烈に出ていて、「面白いんだけど、なんかパトレイバーと違う」って感じていましたね。ゆうきまさみの漫画版は、少年サンデーの連載作品だったためか、'80年代後半作品らしく、サラッと爽やかスタイリッシュで無国籍なんだけど、押井さんが手を加えると、'70年代後半のジメッと汗臭い四畳半アパートな昭和感が丸出しになるんですね。うる星やつらのアニメ版後半と同じ味付け。あ、こっちも少年サンデーだ。 オープニングでいきなり自衛隊が撃ちまくります。パトレイバーは日本の少し未来の話ということで、リアリティを欠く派手な戦闘アクションは描けない縛りがある中、演習中の暴走事故とは、良い目の付け所です。暴走レイバーとの格闘を除き、静かな展開が続きますが、最後の方舟で大暴れ&零式VS98式の戦闘は、ロボットアクションが観たい層も大満足でしょう。 パソコンが一般家庭に普及した、ウインドウズ95が出る6年も前に、OS書き換えやらコンピューターウイルスやらを、娯楽映画に持ち込んで、ある程度解りやすく噛み砕いて観せてます。無人のレイバーが暴れるという、見た目に分かり易い危機だけでなく、犯人である帆場の死後も、目論見通り大暴走に向かっていく、コンピュータープログラムの怖さ、力では止められない恐怖も表現して観せたのは見事です。 バビロンプロジェクトの広報映像とかの、初期も初期のCGが時代を感じさせます。でもこんな時代にコンピューター犯罪を取り扱った先取り感。意志を持ったコンピュータとかでなく、あくまで人が打ち込んだプログラムによる犯行というのは、本作が初だろうか? この劇場版1は久しぶりに観ました。シリーズの主人公・野明のキャラが、思った以上に漫画チックだったんだなぁと。押井版の落ちついた世界観を考えると、ちょっと子供子供してて鬱陶しく感じてしまった。 本作ではバタバタと動き回って“活躍”する遊馬たち特車二課とは対象的に、帆場の足跡を追う松井刑事たちが、東京の古い町並みが壊されていく様子を静かに映し出します。動の中に静を持ち込む。本作以降の押井監督がよく用いる手法(※OVAでは実験的にやってた)ですが、動の遊馬と静の松井刑事とで分けたことで、物語の勢いを邪魔してなくて良いですね。以降の押井監督作品は、この静の部分が増えていきますが、本作くらいのさじ加減が一番バランスが良かったんじゃないでしょうか? 【K&K】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2024-08-17 19:37:30)
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