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《ネタバレ》 今年のクリスマス映画に選びました。ホームレスとして一緒に生活する3人。ホームレスになったそれぞれの事情…というのが、ざっくり自分の身勝手さなんですね。それが、拾った赤ん坊を助けたい一心で次々と奇跡が起きていく。
赤ん坊を拾った時から、ペンキ缶が当たりそうになる、転倒バイクに轢かれそうになる…ってわかりやすい奇跡が起きます。簡単な奇跡から巡り巡っての奇跡まで、いろんな奇跡が詰め込まれた温かい映画でした。 この映画を観たいと思ったキッカケが、春から放送されてた朝ドラ『オードリー』の再放送を観て、主演の岡本綾に光るものを感じたからです。『続けていれば凄い女優さんになったろうに、早々に引退しちゃったんだな』って。そんな彼女が恐らく最初で最後の声優をしたのが本作でした。オードリーの彼女からは想像も付かない、不貞腐れた声と独特なイントネーションがとても良かったです。 全身厚手のフル装備だからよく解らなかったけど、以前はもっとぽっちゃりしてたミユキ。父を刺した回想が面白い。横たわる父の後ろでその事件を取り上げるテレビのワイドショー。「血なんかこれで拭けばいいじゃん」美由紀からのプレゼントだけど、服装から季節は夏だし、さすがにマフラーは使わないだろう。電車で偶然会った時、父はちゃんとマフラーしてました。両親がハナたちに代わり、家が段ボールハウスになり、今の痩せたミユキになってる。この境界線があいまいな夢の表現が実に今監督らしい。 察するに夏からホームレスになったミユキ。暗殺者にさらわれた際、ここにきて自分が売られる恐怖を感じます。それまでギンに拾われたために、闇落ちせずにノビノビ育ってたのも奇跡ですね。 父の愛情を感じられなかった美由紀が、赤ん坊をさらった幸子に、必死に親元に返すよう説得する言葉が、全部自分に跳ね返ってます。 ギンが助けた行倒れ爺さんがギンと(パッと見)同じ格好してる=将来の自分。娘を難病で亡くし妻を失った医者=ギンが自分語りするときの架空の自分。 そしてギャンブル好きで身を滅ぼした泰男=過去の自分。泰男を殴って言う言葉が、そのまんま過去の自分に言ってます。そんな過去の自分(泰男)が自殺しようとする幸子に「生まれ変わって、もう一度やり直そう」と叫ぶ。奇跡的に娘に会えたギンは、今後どうするんでしょうか? ホームレスが本当のホーム(家族)を再発見する奇跡の話。だけどハナちゃんどうなるんだろ?ギンが妻のもとに帰ったらそれこそ独りぼっちです。「泣いた赤鬼」の青鬼になってしまいます。なのできっとギンとハナちゃんは一緒に暮らすのかな。 2億円当選の宝くじ。やりすぎな気もするけど“赤ん坊の命はそれ以上の価値がある”って意味かなぁ? 最後、ゴッドファーザーズ(名付け親たち)のタイトル回収も巧いです。あの子が何て名前になるか一発で解る優しさ。年末にお酒を飲んで回らないアタマには、こういうのが丁度いいんだよ。ホント。 本作のモトになった西部劇『三人の名付け親』も観てみたいですね。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-12-29 11:47:08)《更新》
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