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レビュー情報
《ネタバレ》 まず、でんでんが凄いです。この年代のオッサンのあぶらぎったバイタリティ、明快な価値観、そのごり押し、それゆえのブレのなさ、迷いのない裏表の使い分け、あたりを見事に演じています。人物造形に妥協がないので、非常にリアルに感じられ怖いです。吹越満は、でんでんとは対照的に地味な役柄なので、どうしても印象が薄くなりがちですね。でも、そつなくこなしています。上記2人の男の妻2人が、また対照的で、でんでんの妻、黒沢あすかが、派手に武装した色気(初登場シーンではハッとしました)なのに対して、吹越満の妻、神楽坂恵は、平凡な生活にふてくされたような、化粧っけのない、くすんだ顔つきです。だがそれがイイ。そのギャップがイイんです。たまに表情が輝くのもイイ。ということで、いつのまにか、坂恵(さかえ)さんがお気に入りに。終盤に向かうところで、でんでんと吹越の殴り合いがあるのですが、吹越以上にヘタレな我々にはガツンと重く響く一撃でしたね。結果的には効果てきめんで、更に泥沼に向かって展開していきます。本作品は埼玉愛犬家連続殺人事件をモチーフに、その他現実社会のいろいろと濃い部分を抽出して、エンターテインメントとして再構築しているようですが、作品内に落とし込んだそれぞれの要素が、しっくりと絡み始めて、蠢き始め、新たなカオスを生み出しているんですよね。作品としてのナマモノ感、生臭さを強く感じました。
【camuson】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-05-08 19:20:04)
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