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レビュー情報
《ネタバレ》 原作既読。4コマ漫画が得意で、学級新聞の4コマを担当して、クラスで人気を集めている女の子が主人公。わけあって同じクラスの不登校で引きこもりの女の子が、主人公同様に学級新聞の4コマ漫画作品を投稿するようになります。この引きこもりの女の子が、4コマ漫画の意味を完全にはき違えていて、大したつながりのない超写実的な風景画をただ4枚並べただけ、などという作品を投稿したりするわけなんですが・・・どういうわけだか、その作品を見た主人公や周りのクラスメートが、「それ4コマの意味ないやん!」などのツッコミを一切入れずに、むしろ絵の上手さが評価されているかのようなテイで物語が進んでいきます。これは自身が漫画描きである原作者が仕込んだ茶目っ気満載のギャグだと思うのですが、物語世界の外側にいる私たちの反応としても、この部分にツッコミを入れている人が案外少ないような気がしました。藤本タツキの他の作品をそこまで多く読んでるわけではないのですが、冗談とシリアスのブレンドのさせ方に、ブラックで、サイコパス的な感覚がある人のような気がしています。前述のツッコミどころも、良くも悪くも作品内の現実世界に虚構的なテイストを与えていて、後に虚構と現実が対比された際に、良く言えば、複雑で不思議な心地がするし、悪く言えば、現実世界への没入が薄くなる分、迫力が削がれている気がするのですよね。本作は、アニメ化にあたって、アニメ作家による作品解釈が入り、原作にはないシーンを追加したり、丁寧にイメージを膨らませていて、アニメならではの表現を楽しめます。特に主人公のギャグセンスのキレッキレ具合(絵の乱暴さも含む)が強調され、引きこもりの子の作品の頓珍漢っぷりが相対的に薄れ、原作が持つ独特な毒が少し抜けて、多くの普通の人が見て、より普通の感想を持てる作品になっているという印象です。映像化により多くの人に見られることを考えると、1つの正解かなと思います。
【camuson】さん [インターネット(字幕)] 6点(2025-02-06 17:29:45)★《新規》★
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