受取人不明 の ドラえもん さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ウ行
 > 受取人不明
 > ドラえもんさんのレビュー
受取人不明 の ドラえもん さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 受取人不明
製作国
上映時間119分
劇場公開日 2005-05-14
ジャンルドラマ,青春もの,ロマンス
レビュー情報
70年代末期の在韓米軍基地周辺を舞台に、三人の若者を中心に描いた群像劇。青春ドラマというには、余りにも痛ましく、かなりビターな味わいを残す作品だ。韓国の歴史には詳しくも無いが、朝鮮戦争が物語の発端となっている事だけは確かなようで、戦争に直接的な関わりを持たなくとも、後々において様々な影響を及ぼすという痛烈なメッセージが感じとれる。ここに登場する人物たちは、直接・間接を問わず、すべからく戦争の犠牲者であり、心に深く傷を抱えている。当時の閉塞感溢れる社会状況の中にあって、とりわけそれぞれに悩みを持つ若者たちが、その鬱積した気持ちの吐け口を探し求めようとする。それは彼ら韓国人のみならず、米軍基地に留まっている若き米兵の存在にも言える事だが、どこか戦後の日本の姿にも重なり合う部分が多い。しかし、心の拠りどころを求め続ける彼らの悲痛な叫びは誰も受け取ってはくれない。やがて若者たちは、忌まわしい過去を清算するかのように、それぞれが自己完結を図ろうとする。それはまるで連鎖するかのようであり、ドラマは一気に悲劇性を帯びてくる。物語に届かない手紙を暗喩として象徴的に引用しているように、戦争の後遺症とは、いつの時代でもどこの国にでも生じ得る普遍性のあるテーマでありとりわけ子供たちへの影響は計り知れないものがあるという事なのだろう。映画は個々に何らかの関わりを持っている主要人物の造形がとにかく見事で、複雑に絡み合いながら大きなうねりとなっていくドラマ構成も巧みで、十分見応えがある。具体的に画面では見せないものの、痛みを伴うギドクらしい作風はここでも存分に感じとれるが、モチーフでもある寓話色は意外と希薄で、美しい田園風景とは裏腹に濃密な人間ドラマには実感が込められ描かれた秀作である。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 9点(2005-07-26 18:30:28)
ドラえもん さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2013-04-06007/スカイフォール5レビュー6.50点
ダイ・ハード/ラスト・デイ8レビュー4.83点
2008-05-06長江哀歌8レビュー6.04点
2007-10-18ツォツィ9レビュー6.26点
2007-07-29世界最速のインディアン9レビュー7.41点
2007-07-29ブラックブック8レビュー7.43点
2007-04-29ポセイドン(2006)7レビュー5.87点
2007-03-18ディパーテッド9レビュー5.98点
2007-02-25それでもボクはやってない10レビュー7.60点
2007-02-18単騎、千里を走る。6レビュー6.64点
受取人不明のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS