1.スウェーデンで古くから続いている貴族(なのかな?)スウェーデンイェルム家は、家長がノーベル賞を狙う科学者(変な薬品を買っては財産を食いつぶしている)。長男はお父さんの発明を手伝う助手、次男は空軍の英雄だが借金まみれ、そして娘は自称女優の卵。気はいいがお金にルーズでマイペースなスウェーデンイェルム家をとりまとめているのはここで何十年と働いている老メイドなのです。彼女は、大掃除が大好きで、月に一度掃除をするけれど、家長の妙ちきりんな実験のあおりをうけてすぐに部屋をすすだらけにされてしまうのにプンプン怒っているのです。だけれど、火の車の家計のやりくりをし、家の人がいくらほしいといえば、なんとか工面をする心優しきしっかりもの。そう、この映画は肝っ玉のすわったメイドが主人公といっていいくらいかっこよく描かれているのです。ただのメイドのはずなのに、最後には家長から貴婦人と言われるのが凄い! 一方のスウェーデンイェルム家の面々は、だらしないやら情けないやら……。そう、男どもが、なんともダメダメちゃん。ふくらんだ借金はお父さんがノーベル賞をとらなければ返すことができないという危ない橋を渡っているのです。すべてはお父さんの研究成果にかかっている。こんなバカでダメなほーーんとダメダメ家族なんだけれども、これが何故か愛らしい存在に思えてくるから不思議。映画の力って魔法だなって思いますよ。いまや“スウェーデンイェルム家”ときいただけで、クックックッと笑いがこみあげてくるくらいの影響を受けてしまいました。メイドがいないとなーーんにもできない家族、育ちのよさからか先々のことなどなーーーーんも考えていない家族、そしてお金がないくせに正義感とプライドが高いもんだから、観ているこっちがハラハラしてしまう、そんな愛すべきダメな家族。ここの次男のフィアンセであるバーグマンには、こんな妙ちきりんな家に入って精神がおかしくならないか、他人事ながら心配になってしまいます。