1.涙女は「泣き屋」という意味です。葬式の時に雇われて、死んだ人のために泣くことを商売にしている女性のことだそうです。 私が見たところ、泣くだけではなく、歌ったり踊ったりしていましたが、お堅い人がこれを見たら不謹慎だと思うかもしれません。この映画は、中国で作られたのに、中国では上映されていない不思議な映画です。 それは映画を見ればなんとなく分かりますが、事実なのに、都合が悪くなるとすぐに隠したがるお国柄なのですね。 それから泣き屋を演じたリァオ・チンは、元オペラ歌手だそうですが、映画の中では子供を抱えながら海賊版のDVDを売るような女性で、タフで利己的な面も持っています。しかし、ヘタレで弱さも抱えており、なかなか憎めません。 他人のために泣くことを商売としている「涙女」は一度も本気で他人のために泣きませんでした。 最後の大泣きも、「自分のため」だったのが印象的です。 たくましくてずるくてかわいい女性だったと思います。 この女性を通して、実質的に資本主義に変貌した中国の一面が見られます。 カラフルな色を意識的にたくさん使った映画なので、お洒落なミニシアター系の映画が好きな人は、けっこう楽しめるかと思います。