1.木下恵介監督戦後の傑作『女の園』(10点)と、まるで表裏一体合わせ鏡みたいな作品です。『女の園』では向かうところ敵なし、おっかない高慢ちきな学生寮の寮母を憎々しげに演じていた高峰三枝子、若かりし彼女がここでも女学校の寮母を演じています。ただこちらでは田舎訛りの抜けない優しい信子先生役。あまりによく似た設定での役柄のギャップに、自分は思わず笑ってしまいました。この作品から、後年『女の園』で彼女を抜擢した木下監督も、相当底意地が悪いといおうか(笑)確か生徒役の岸恵子に「もっと愛情を持って私たちに接して下さい!」と涙ながらに訴えられていたのに、ここでは逆に「生徒には愛情を持たないといけないんです!」って他の先生に強く訴えてる・・・。何十年か経って、この清く正しく美しい信子先生があの五条先生や犬神松子に変貌してしまうなんて・・・ああぁぁ女っていうのは怖い・・・。DVDジャケットの宣伝通り、これは女先生版「坊ちゃん」ですね。清水監督らしさは、レクリエーションでの野外ピクニックシーンに良く出てました。