1.《ネタバレ》 木下恵介のコメディが好き。これが最後の純コメディになるのかな。松竹戦前からのお得意のスター誕生物語の枠組みだが、でもテレビで人気が出てから映画へというコースになっているのが60年代。永井智雄、大森義夫、坪内美詠子と、テレビ「事件記者」のレギュラーが顔を揃えたのは偶然か。他愛ない作品だけど、何となく現実と触れあえない気分や、もひとつたぎらない青春の血潮ってあたりに、脚本山田太一の色を感じる。東山千栄子に代表される田舎の重圧は木下のテーマ。特別出演の佐田啓二が「俺ら岬の…」を、田村高広が「女の園」を歌うというウチワオチあり。寮生活模様のスケッチ、いつもぶつかる手前のドアのギャグとか、若水ヤエ子管理人の放送などで笑わせる。ストリップ見た後ですぐに寮の男風呂のでぶのカットになるというギャグもあった。他愛ない作品ではあっても、いい加減な感じはない。