1.作品の冒頭でいきなり『恋する惑星』の映像が出てくる。
しかも『恋する惑星』の舞台になった重慶マンションが登場。
『恋する惑星』は大好きな作品なだけに、この引用は嬉しかった。
主人公の男は、金城武ほどのインパクトも貫禄もない。
単なる、香港の学生さんという面立ち。
対するヒロインの女性も、劇中で「美人」という設定になっていながら、ブサイクでないまでも、それほど強調するほどの美人とも思えず、やや不安がよぎる。
しかし、中盤以降から俄然面白くなり、不思議かな、この二人の男女に対しても最初に感じたほどのマイナスイメージは無くなっていった。
最後は色んな要素を組み合わせながら、卒なくまとめあげており、なかなか見事。
素直に楽しめるラブ・ストーリーだった。
『恋する惑星』同様、「猥雑な魅力を持つ香港の夜」を舞台にした本作は、“香港の夜が舞台”という、ただそれだけの理由で、とてもスタイリッシュ且つ倦怠な雰囲気を発散しまくっている。
これがどうにも大好きで、ベタなラブ・ストーリーであったとしても、十分楽しめてしまうのである。