1.《ネタバレ》 [2025/3/24改訂] こういうのは何が面白いのかというのが正直な感想である。
この監督の傾向は知らないが、この映画に関しては欲望の解放ということが基本テーマかと思った。性的欲求含みの残虐行為や、神聖なものを汚してやりたいという歪んだ欲望は当時も一部の大衆受けしたかと思われる。ただし個人的には近年のろくでもない流血映画を見慣れてきていることもあり、残虐映像にしてもこれくらいだと奥ゆかしく見えなくもない。かえってリアルでもあるのはさすが芸術だ。
また個々人の私的な事情を絶対化することで、個人を律する社会規範を揺るがしたいとの願望も感じられる。ただしそういう一般論は別として、この主人公の境遇に直接共感できる観客は多くないだろうから訴求力が限定されそうではある。主人公の役名が少年というからには、性的な成熟度が女性5人と明らかに違って見えればもう少し説得力もあったかも知れないがそうでもない。
なお最後に当時の世相を表す音声・映像・新聞が出て来たのはかなり唐突感があった。直接関係なさそうな社会問題まで持ち出して凶悪犯罪を正当化する態度なのかと思ったが、公開時点では実際に学生運動との関係で理解しようとする向きもあったようで、この頃の国民意識としてはそのように思考回路ができていたのかも知れない。時代固有の感覚というのは計り知れない。
ところで役名「少女」に関しても、少年と同年配に見えるくらいが理想だろうがまあ仕方ない。この人物は最初から仏様のような憐憫の目を煩悩男に向けていたのかと思ったが、自分の番になるといきなり天然キャラのおとぼけ戦術に出たようなのは意外だった。最終的にはうまくやったようで幸いだったが、途中段階で縄をほどけと言われて応じなかったのも助かるための適切な判断と思われる。肝が据わった人物らしいので看護師向きか。
なお制作関係者は女性看護師というものによほど恨みでもあるのかと思ったが、それよりもこういうのをいわゆるmisogynyというわけか。そもそも女性看護師が全部天使だと思う一般庶民はほぼいないだろうが、しかし実際に病気になって世話になれば天使に見えることもあるかも知れないので、看護師の皆さんには今後とも使命感をもって職務に励んでいただければと思う。
なお点数は初見時の嫌悪感のままにしておく。