2.《ネタバレ》 面白い。小粒だが良くしまった味のドキュメンタリが堪能できる。
そうだ。そうそう。
何でもかんでもアメリカのせいにして、廉価で栄養もキチンと含まれる食事に感謝もしない。しまいには食糧事情までアメリカの陰謀になっちゃったりする。馬鹿馬鹿しい。
この映画が扱う問題はきわめてデリケートで、果たして何が正しいのかを判断するのが非常に難しい。と言うのも、社会の基盤になっている明かされない何かが歴史の中で既に決定されており、それに対する結論は出かかっている状態に過ぎないからだ。
この映画の主人公二人は、問題の根源と見なした農務長官を訪ね核心を突いた気になったその直後、現実を知ることになる。現代の形を作っているこの変遷は彼だけが決めたものでもアメリカという国家の我が儘でそうなった訳でもない。老人は静かに語る。
「誰だって豊かな生活がしたい。食料が圧迫していた家計に余裕を作り出したい。それを叶えたかった」
この言葉に嘘はない。そして、
「私たちの生活は食費に悩まされることはなくなって、その余剰を他の事に回せる。幸せなことだ」とつぶやく。
残酷な言葉を突きつけに行った二人は求めていたものと余りに姿が違う事実を目の前にすると言葉も出ない。
この問題は、いろいろな物事に内在する同種のジレンマを一度に思い出させる。答えはあるはず。しかし、その回答までの複雑すぎる行程を探し出せないのが人間なんだろう。私たちは明らかに存在する答えに向かっているのかさえも解らず、それを探してウロウロしている。