1.うわっ、半世紀以上も前の西武新宿線中井駅だ(ローカルな感動で申し訳ありません)。やがて山手通りとして混雑する線路を跨いだ道もあるし、弟が迷子になって帰ってくるとこは妙正寺川ぞいのあたりではないか。ロケもそこらへんとは限らないわけだが、坂が多いのはあそこらへんの特徴(学校は高山小学校と読めたが三鷹にあるやつだろうか)。古い映画で銀座や上野はよく見られるが、こういう山の手の住宅地は珍しかった。別に中井に住んだことがあるわけではないが、知ってる場所の昔が出ると嬉しい。廃墟の空き地ってのがまだあり、崩れ残ったレンガ塀の上を子どもたちが歩いて遊ぶとこでは感涙した。家にテレビはなくラジオもたまにつけるだけ、商店街での和服に割烹着姿の買い物客の比率の高さ、などなどに、いちいち反応させられた。こういうのが劇映画鑑賞の態度として正しいのかどうかは分からないが、じっくりと見させてもらった。つくづくあらゆる映像は記録だと思う。お姉さんをやった伊吹友木子って、すました奥様なんかをよくやってた女優さんの少女時代じゃないかと思い、ネットで検索して中年の顔を見ようと思ったら、最近の写真らしいお婆さんの顔しか出てこなかったので確認できず。えーと話は、お父さんが出張、お母さんが病気で田舎に療養、留守を預かるお姉さんと小学低学年・未就学の兄弟、三人暮らしのあれこれ。田舎のお祖母さんが来たり、りんご売りに気を取られて迷子になったり、といったエピソードで50分をつなぐ。もっと「けなげな留守家族」を売り物にするのかと思ってたら、普通に「わんぱく」で良かった。