1.デビュー作ながら豊かな表情変化を見せるリリアン&ドロシー・ギッシュ姉妹が存分に魅力をふりまいている。
全く同じ衣装で風貌も身振りもよく似ているが、背丈と気性の微かな差異でしっかり二人の個性が演出されている。
(リリアン自伝によると、この当時グリフィス監督は青と赤のリボンで二人を区別したそうだが。)
特徴的な、ドアを介して隣り合う二部屋間のサスペンスがメインだ。
ストーブの煙突用穴から覗く、黒光りする拳銃のクロースアップ。寄り添い、怯えるギッシュ姉妹。
1巻ものながら、まさに「女優と拳銃さえあれば映画になる」好例である。
さらに、二人を救出に向かう自動車によるパラレルアクションが加わり、その途上に登場する旋回式ブリッジの仕掛けが救出劇の焦らしとして面白い。
また、妹ドロシーが恋人と語らう屋外ロケの輝くような光線や風、農園の緑の揺れもビリー・ビッツァーのキャメラが瑞々しく捉えている。
ラストの4人のショット。右手前で恋人のキスを受けるドロシーのお澄まし顔も可愛らしい。