1.イタリア・フランス合作で、1950年代当時のインドを撮った、異色のカラー・ドキュメンタリー。
オープニングロールの、異様にカラフルなバックカラーに、この時代のフランスやイタリアのカラー映画の特色を感じる。
ロッセリーニは元々、ドキュメンタリー映画を得意としているが、本作はインドが題材とあって、一風変わった作品に仕上がっている。
自然と人間の関わり合いを主軸に、発展していくインドを様々な切り口で映像におさめている。
淡々と進む感じで、何か劇的に面白いとか、興味をそそられる内容ではなかったが、そこはロッセリーニ作品とあって、つまらないということもなかった。
欧州人から観たインドの印象を伺い知ることができて面白かったし、当時のインドの様子も観ることができた。
又、カラー映画としては未発達なザラついた映像が、逆にいい味を出していて、これはこれで良かったように思う。
象使いは特に印象的だった。
象って、あんなに賢い生き物なんだな、と。
そしてこの作品は、発展を続けていた当時のインドが、どの様にダムを造り、どの様に自然を壊していったかも、問題提起している。
ちなみに当時、インド政府は、このフィルムの国外持ち出しを禁じたらしい。