2.歴史的な裁判を記録した映像としては貴重なものなんだろうけど、映像作品としては退屈でつまらない。
ホロコーストに興味の無い人にとっては、苦痛の2時間でしかないと思う。
個人的には多少興味のある方なので、なんとか見られたけどね。
法的な問題とか、責任がどこにあるとか、そんなことはどうでもいいんだけど、そもそも何故そんな悲劇が起きたのかという考察の部分は興味深かった。
冷酷な言い方をするなら、極めて効率的な合理化だったんだろう。
鳥インフルエンザで大量の鶏を殺処分するような感覚なのかも知れない。
その執行手続きのスペシャリストがアイヒマンで、時代が違えばとても有能な役人になってたのかも知れない。
もちろん殺したのは鶏ではなくて、人間だったのだから重罪ではあるけどね。
少し話を巻き戻して、そもそもアイヒマンは反ユダヤではなくて、ユダヤ人の祖国を取り戻そうと尽力していたと主張している。
証人のユダヤ人指導者からは好感を持たれていたようだし、実際にユダヤ人の移住計画に携わっていたことも確かなようだ。
もちろん慈善事業というわけではなくて、財産を没収して戦費とする為の計画ではあるけど、少なくとも虐殺しようなんてことは考えてもなかったのだろう。
移住がやがて虐殺へと暴走していったのは、戦況の悪化による必然的な流れだったのかも知れない。
もしドイツが戦争に勝っていたなら、600万人のユダヤ人はドイツが獲得した何れかの土地に移住させられて、ユダヤ人国家が誕生していたのかも知れない。
そうなっていたら、建国に尽力した功労者として、アイヒマンはユダヤ人から賞賛されていたのかも知れないのだから皮肉なものです。