1.『新~』も含めての、網走番外地シリーズ最終作。思えば、刑務所シーンで敵対する相手も、かつては、いかにも粗暴そうな悪役顔の安部徹だったのが、いまや狡猾そうな経済ヤクザ風の風格を見せる小池朝雄へ。隔世の感があり・・・という程でもないでかすね。『新~』になってやや製作ペースが落ちたとは言え、シリーズ開始からまだ7年ほど。そもそも主演の健さんが、見た目、大して変わってない。いや、最後まで変わらなかったのが健さんという人、という気もしますが。
最終作、と言う訳で、それなりにマンネリ感もあり、勿論シリーズものですから、マンネリ上等!ではあるのですが、一方で「健さんしばり」「網走番外地しばり」というものも感じてしまうのは、タイトルを見てもわかるように、『トラック野郎』まであと一歩、のところまで来てるんですよね。ダンプトラックのカーチェイスはあるし、モナリザお京みたいなキャラまで登場するし。
しかし主演は健さん、監督は降旗康男。やっぱり菅原文太&鈴木則文とは、描く世界が違いますわな。違うんだけど、でも、トラックチェイスをクライマックスに持ってくりゃいいものを、やっぱり、殴り込みをかけてドスを振り回す展開に持ち込んでしまう、任侠映画しばり。
網走番外地は比較的、テキトーで自由度が高いシリーズだったはず、なんですけどねえ。冒頭の刑務所シーンで健さん自身が『昭和残侠伝 死んで貰います』(だと思う。間違ってたらごめん)を見ている、なんていう悪ノリには、その片鱗が。だけど本作、全体的にはマンネリ感が悪い方に出て、悪ノリかどうかはともかく、もう一つノレない印象。ちょっとダメかなあ、と思っていたら、マンネリ感の積み重ねでやっぱり最後は盛り上がってしまう。ダイナマイトでの襲撃といった派手なアクションも見どころ。丹波哲郎の温存も、ありがちと言えばありがちだけど、それでも、待ってました!と言いたくなる。
やっぱり、マンネリ上等、なんですよね。