1.《ネタバレ》 ズール戦争の映画と言えば64年製作の『ズール戦争』がポピュラーですが、本作は64年版の前日譚というか前半戦を描いたという位置づけなんでしょうか。『ズール戦争』は40対1の劣勢ながらもズール人を撃退した伝説のロルクズ・ドリフトの戦いを描いた英雄物語ですが、その前日におこったこのイサンドルワナの戦いでは大英帝国軍はほぼ全滅という『遠すぎた橋』どころではない大敗北を喫しています。主演はバート・ランカスター、有能だけど反抗的な軍人を演じたらやはりこの人の右に出る人はいませんね。対する気ぐらいは高いが無能な将軍はピーター・オトゥールでこれもまた適役です。 冒頭のズール族の若い男女たちの群舞(求婚の踊り?)はなんか凄い迫力です。対照的に描かれるのが英国植民地人たちのスノッブぶりで、ヨーロッパでもっとも貴族的だった英国陸軍将校たちの生態も観れて興味深かったです。お話自体は淡々とすすみいつの間にか戦争が始まったという感じです。でも大量のエキストラを動員した戦闘シーンは迫力満点で、ロングショットを多用した撮り方は戦闘の雰囲気を余すところなく伝えてくれます。 ピーター・オトゥールの他はほとんどの出演者が戦死しちゃう悲惨な幕切れですが、全体にあまり盛り上がるところもなく終わってしまったという印象です。この映画は英国じゃなくアメリカ資本で製作されていますが、観る者がベトナム戦争の失敗を重ね合わせることを期待している様な感じがしました。