1.《ネタバレ》 殊更な表現をするわけでもないのに、リチャード・アーレンとジタ・ヨハンの出会いのシーンは後に彼らが心ならずも
惹かれ合い、エドワード・G・ロビンソンを裏切ってしまうことになるだろう予感を強く感じさせる。
さらには陽気なエドワード・G・ロビンソンの邪気の無い雄弁が哀れみを誘う。
波をかぶる船側で漁師たちがマグロを次々と釣り上げていく漁獲シーンの荒々しく、力強いショット。
そのマグロを船倉から籠で釣り揚げ、漁港から加工場へとコンベアーで運んでいくショットのドキュメンタルな迫力。
本筋そっちのけで、その瑞々しい労働シーンに魅入られ、撮り続けてしまったのだろう撮影クルーを想像して楽しくなる。
船長の風貌や、船上からのライフル射撃などのディティールはやはり後の『ジョーズ』にも受け継がれたのだろう。