8.《ネタバレ》 説明なしに物語は始まる。
湖畔の瀟洒な屋敷に顔を揃える高官ら。議長のもと会議は進行する。各担当部署の代表らが集まったらしく、縄張り争いがあったり好かない奴への小さい嫌がらせがあったり、とサラリーマンのそれと何ら変わらない。
対象物のあまりの多さに輸送方法でまず一山あり。だがそこは有能な執行武官が良案を出してなんとかパス。
留め置く場所をめぐって「ウチばかり負担が多くないか」と公平分担を主張して引き下がらない管轄部署がいれば現行法の遵守を強く訴える役人もいる。
任務遂行に当たるドイツ軍人のメンタルに配慮する役人もいて、一見福利にも目配りができている。
場が紛糾すれば一旦ブレイクを取り、その間はあちこちの固まりにて行われる根回し。
ちょっとの意見の相違があっても全員がミッションの完遂に向けて意志は一つにまとまっているのだった。有意義な会議である。一見。
が、しかし。有能で効率的ゆえに観ているこちらは震えが止まらない。イヤイヤイヤ、なんでそんなに冷静かつ明瞭に論旨を述べるの。
誰も突っ込まないんだ。この場にいるんだから当然だけど。
こんなんなってしまうんだろうか。戦時なら。任務なら。怖すぎる。人間が。