1.《ネタバレ》 夫に先立たれ、生活苦から自宅の一室を貸し出して収入を得ることになった独り暮らしの高齢女性が、宿泊客との交流を通して次第に心の平安を得ていく…という物語なら良かったものの、これはそんなハートウォーミングな物語とは全く異なるホラーストーリー。
最初の一組目の展開はまずまず。イラつく夫と心優しい妻。ジョイスの言動や振る舞いが気に入らず翌日には引き払う夫。妻のサラはジョイスに感情移入し一気に親密な関係に。ここまではハートウォーミング的展開を期待させられないこともないのですが、次なる宿泊者のボブを文字通りゲットした後は、激しく方向を変えて急展開。ジョイス、あなたそんな人だったの?やることなすことキモイ。いや、誤解のないように。ジョイスが高齢だからじゃないですよ。若き美女だったら許されるというような行為じゃ全然ありません。(個人的には好みのタイプだったらウェルカムかも知れませんが…)只管キモイ。
いいんです。お化粧したり、可愛い衣服を身に纏ったり。それはジョイスの自由です。でも荷物漁ったり歯ブラシ使ったりバスルームに呼び込んだり…ダメです!
近所の悪ガキにセクハラまがいに苛められるのは、もしかしたら理由があるのでしょう。以前から若い男に目がなかったのかも知れません。いや若くなくても男に異常に執着するタイプだったのかも。それも性的に。図書館で借りる本、彼女の愛読書が明確に物語ります。
そして激しく自己承認欲求が強く、かつ衝動的になってしまうタイプなのでしょう。そう考えると、夫の葬儀での茫然自失ぶりの理由は何だったのでしょう。夫の借金の原因は?夫の遺灰を投げ捨てる際の激高ぶり。相当不仲だったのかも知れませんし、その原因が夫にあったとは限りません。もしかしたら、何らかの手段で夫も彼女が殺したのかも、とさえ思ってしまいます。
隣人を殺し、恋する人を殺し、偶然得た多額の現金で旅をするジョイス。旅を終えた彼女は戻るのか?それとも新たな獲物を求めて彷徨うのか?恐ろしい物語でした。