1.《ネタバレ》 呪われた○○に惹き付けられた者の悲劇、みたいな物語は数多ありますね。本作も呪われた一枚の絵に惹き付けられた画家志望の青年の物語。かなりの低予算作品と見受けられ、舞台となるのは個人経営の小さな美術館と主人公の住む貸家のみ。特殊効果も殆どなく、件の絵に取り憑いた魔人?は被り物のようです。出演する役者さんたちも正直なところ知らない方ばかりでして、主人公を始めとして申し訳ありませんが演技が素晴らしいとは言い難いように思えます。
とは言え、比較的短い尺も幸いしてか作品世界には惹かれるものがありました。呪いの正体、魔人の正体は必ずしも明確にはなりませんが、画家を志す数多くの者たちの魂を吸い上げ絵の向こう側の世界(この場合はイコール魔人そのもののようですね)に並べられた肖像画に封印しているなんてのは、ありふれているようでいて目新しさも感じました。もっとも、マリクが自由に行き来するのは都合が良過ぎますが。
一番残念だったのはラスト。美術館の館長?経営者?がマリクのしたことに気付きながらも「やるわね」みたいに見逃したのは、作品そのものを最後の最後に思いっきり軽くしてしまいました。なきゃないで締め括れないシーンですが、何かひとひねり欲しかったところです。