1.《ネタバレ》 日本で劇場公開された監督〈自己検閲〉版ではなく、映画配信サイトJAIHOで配信されたオリジナル版で視聴。
本当に行為をしているのではないかという生々しい性描写がノーモザイクで繰り広げられ、
ハリウッドのR18指定映画がディズニー映画に見えるレベル。
舞台はコロナ禍のブカレスト。
夫との痴態を撮影したプライベートビデオがネットに流出し、その後始末に追われる名門学校の女教師の話。
品もなく、悪趣味かつ前衛的に描くことでマスクに隠された人間の偽善や差別意識を炙り出し、
一周回って社会風刺をさぞや高尚に見せているようで実は中身などない。
'70年代にヨーロッパで流行った悪趣味映画を、コロナウイルスの脅威に曝される時事ネタに差し替えただけだ。
かつてのチャウシェスク政権によるルーマニアの負の遺産?
だから何だと言うのだ。
そんなものはどの先進国にもある事象でしかない。
第1章はコロナ禍のブカレストをただ撮っているだけ、第2章はゴダールみたいなアーカイブ映像と画像のコラージュ、
第3章は学校で保護者相手に説明する絶体絶命のピンチを迎えるさまを、3つのマルチエンディングで。
エンディング3番目は主人公がヒーローに変身して大人の玩具で懲らしめるジョークみたいな終わり方だが、
裏を返せば「こんな映画に本気になってどうすんの?」と嘲笑しながらも監督が逃走しているように見えなくもない。
ベルリン映画祭で金熊賞を受賞したらしいが、本作を評価できるほどインテリジェンスはありません。