1.《ネタバレ》 この歴史は詳しくは知りませんでした。戦後世代、しかも遠く離れた日本の地においては、余程興味を持って積極的に学ばなければ詳しく知ることはないかも知れません。勿論、本作を観て全てを知ったなどとは思いません。
当時のナチスドイツであれば当然の如く達したであろうこの非道な判断。障がい者を養うためには通常以上に経費がかかることを教える教師。上からの命令に抗えず教える教師には障がいのある我が子がいる。ジレンマに負けて教壇を去ることも許されない。そんなことをすれば捕えられ、場合によっては命を失うかも知れない。だから教え続ける教師。そして生徒の中には、経費がかかるのだったら殺すしかないと答える者までいる。おそらくは素直に合理的に答えているだけであろう生徒。恐ろしい教室です。そしてそれが社会の縮図になろうとしている。
教師の家にもナチスは来る。母親として教師は我が子を逃がす。逃げた少年は、途中で同じく逃げ隠れている子を見つけ、その子のために囮になって追手を引き付け結果殺されそうになる。本能的な当然の行動として、勝ち目のない相手と戦う少年。そして遂には奪った銃で追手を射殺してしまう。
殺されるからその前に殺す。究極の判断に至った少年の心情。そしてその後の運命。更には残して来た母親の運命。先行きの全てに暗雲が立ち込めます。
戦時下の狂気が引き起こす過ち。過去を知って決して繰り返すことのないように、などというシンプルなテーマではなく、タイトルからして少なからず宗教的な側面を持たせつつ、もっと深い、人間や人間社会の本質に触れている作品として受け止めました。