1.《ネタバレ》 「ミラーズ 呪怨鏡」(2015)に続く「スペードの女王」シリーズ第二弾らしいが主人公は可愛くない。今回も邦題はどうでもいい感じで付けてあるが、英題と原題には前作と同じQueen of Spades/Пиковая дамаが入っている。監督は前作と代わっているが劇中設定は引き継いでいるので続編的な印象もある。一応ホラー映画だが、前作と同じく特に怖いところはない。
前作は子どもの遊びを題材にしただけの映画だったが今回は少しスケールを拡大し、歴史的に続いてきた呪いの物語に発展させている。呪いの起源になった没落貴族の事実関係を深掘りしているが、通説(前作と同じ)・別の説・校長の見解という3通りの説明が出るので戸惑わされる。ただ最終的に要はこうだろうという結論に落ちるので、その過程を追ったミステリー的な展開ともいえる。
なお今回はその没落貴族(伯爵夫人)の住んでいた屋敷を主な舞台として呪いの発祥地の秘密を暴く形だが、その屋敷が今は寄宿学校になっているという設定にして、少なくとも序盤ではハリー・ポッターシリーズを若干意識していた。いわゆるアナベルのようなのもいて欧米寄りの雰囲気を出している。
物語に関して、今回は「スペードの女王」の召喚目的を「願い事」に絞り、登場人物それぞれの願い事と報いがどうなったかを考えさせる形になっている。「誰かを犠牲にして人は救えない」というのが重要事項だったようで、他人を犠牲にしようとした地味男は、伯爵夫人と同レベルに落ちそうになったが結果的に救われたらしい。一方で自分を犠牲にして人を救った主人公よりも、伯爵夫人が得したかのような結末は残念だったが、これは現実社会の理不尽さの反映ということか。
登場人物に関しては、食欲を減らしたい人物の結末がなかなか印象的だった。現地で米食の習慣があるのか不明だが、白米のようなものと異物(動く)の混ぜご飯という趣向は悪くない。トリの頭も面白かったが、この人本人はけっこうかわいそうだったので面白がるのは気の毒だ。ほか地味男の祖母の件は、もう少し切なさを強調してもらいたかった。
全体として、少し面倒くさいところもあるが娯楽性がなくもなく、見どころもなくはないので悪くなかった。ちなみに宮崎アニメなら最後に全員出て来てハッピーエンドになっただろうが当然そうはならない。