16.《ネタバレ》 戦争映画ではあるが、人間ドラマとして興味深い作品。指揮官と部下の関係を通じ、優れて指導者論になっている。ストーヴァルの回想で始まる構成もいいね。 成果を上げるため部下には厳しい上司、「パットン大戦車軍団」はじめよくある上司像だなと思いながら観ていたが、終盤に精神の変調をきたす展開は予想外。組織におけるリーダーとしての葛藤や苦悩が描かれており、第二次世界大戦終結からわずか4年後にこのような映画が作られたことに驚き。 いかに優れた人でも強いストレスにさらされれば弱いもので、ピンと張りつめた糸ほど切れやすい。そんな主人公の内面をG・ペックは見事に演じた。 個人的には、部下たちから信望厚く細やかな人間性(不運を嘆く弱点含め)をみせるダヴェンポート大佐や、気配り上手なストーヴァル少佐にシンパシーを感じる。サヴェージとダヴェンポートの長所を併せ持った上司が理想かもしれないが。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-29 14:20:22) |
15.他の方も指摘しているとおり、戦争というよりリーダーシップがテーマでした。毅然としたグレゴリー・ペックは見応えがあります。古今東西を問わず、管理職は孤独で辛いもんだなぁと。また優秀なリーダーが組織にとっていかに貴重なものか、後継者の育成がいかに大変かということも、あらためてよくわかります。 本題はこれくらいにして、個人的に印象に残っているのは、後半に爆撃機の帰還を待つ地上勤務の面々を描いたシーン。なんとなく空を気にしながら適当に時間をやり過ごすわけですが、さぞかし「無事に帰ってきてほしい」と祈るような気持ちだっただろうと思います。 そして帰還が始まると、一斉にそれぞれ持ち場に散って職務を全うするんですよね。本筋とはあまり関係ありませんが、また戦争映画で描かれることも滅多にないですが、こういうリーダーでもエリートでもないバックオフィスの姿は本当にカッコいい。私自身が社会の一兵卒に過ぎないせいか、ついつい共感してしまします。 しかし、この邦題は意味不明。一応「直訳」なのかな。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-05-27 02:38:20) |
14.《ネタバレ》 うまくいっていない部署に単身乗り込んで立ち直らせる。それがどんな困難か、あきらめたことのある身にはグレゴリー・ペックに物凄い憧れを感じる。しかし、その改革の功罪を一身に背負うとなれば、そのストレスたるや想像を絶する。落伍する僚機を援護するため編隊を崩した機長を叱責する、怒る方も辛いよな。 それでも理由とかきっかけではなく何故か急に改革に共感が集まり方針は徹底され士気は上がる。だが過酷な任務に損害が出て、戦死者も増える。「それが戦争だ。」そう言い捨てるけれど心は愛する部下へ哀惜の念と自分が信じて鍛えてきた方針への疑念に苛まれていたはずだ。この映画のこの描写の当否に部下を死地に送り込む命令を出したことがない我々はコメントする資格はない。なぜなら、そのストレスの過酷さを知らないからだ。逆に戦争の記憶がまだ生々しい時期に制作されたこの映画にその精神状態を学ぶべきだ。 敢えて「メンフィス・ベル」と比べると当時の雰囲気が分かって面白い。爆撃機が進入してくるシーンの荒々しい操縦に驚くし、被害を受けた航空機の救助に向かう地上要員の緊張感に共感する。乗員の負傷だってちょっと場所が違う。全く学ぶべきところが多い名画中の名画だと思う。 【たこのす】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2021-05-23 16:33:31) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 ドンパチのない戦争映画という事で新鮮でありそれなりの魅力もある。見方を変えれば、戦争映画というよりも軍隊映画であり、組織論やマネジメント論的要素もあるので、皆さんのおっしゃるように中間管理職の映画と言えなくもない。ただし、現代の中間管理職と決定的に違うのは部下と生死を共にしているという事だろう。という意味においては、常時緊迫したストレスフルな異常・極限事態であるとも言える。ただし、異動願い騒動に関しては軍隊にそこまで民主主義が浸透していたのか?という疑問もあるが。 Gペックが心を鬼にして上官の役割を演じているのは理解できるものの、中盤はメリハリと起伏がないのでラストの精神崩壊に唐突感があるのは否めない。戦闘シーンまでGペックをカッコよく描きすぎてしまったのが原因か。もうちょっと中盤から苦悩するシーンを挿入してラストに向けて盛り上げて行った方がよかったような気もするが、実際の戦場に出てみて部下が次々と死んでいくのを目の当たりして病んでしまったのかもしれない。前任の部下思いでそれが行動にでる裏表のないリーダーは精神を病む事はないが、部下を危険に晒す事になるし成果も出せないので左遷になる。他方、部下想いではあるが組織のために鬼であり続けるという両立は不可能であるという事だろう。そういう分裂状態ではどっかで精神がやられる。それを人間の弱さととるか優しさととるか。 結局、自分の出世や手柄のためなら部下なんてのは部品や道具でしかないと割り切れるパラノイアでもない限り組織のTOPは務まらないという事だろう。そういう人間は現代にもブラック企業には大勢いそうではあるが。 |
12.《ネタバレ》 この設定だったら、さぞや華麗な空中銃撃戦が・・・と思っていたら、いつまで経っても空のシーンは出てこない。代わりにあるのは、説教だとか叱責だとか議論だとか、そういう地味なシーンばかり。まあ、軽薄にそれっぽい派手な映像を入れられるよりはましですが・・・。終盤には主人公が崩壊していくという展開になって、これはこれで斬新で冒険的なのですが、今日の作品だったらこここそをまさに強調することでしょう。その意味では物足りませんでした。あと、この内容にしては尺も長すぎるような。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-11 02:00:49) |
11.所詮は敵の弾も飛んでこないし爆弾も落ちてこない基地が舞台、という胡散臭さがあって、新たに指揮を執ることになったグレゴリー・ペック、部下たちの規律を正すべく、ビシビシと容赦ないのですけども、そういうアンタだって何ほどのモノよ。と言いたくなる。 言いたくなるけれどそれを言わせないのが、やはり、グレゴリー・ペックだからであって。いくらビシビシと厳しく部下にあたっても、基本的には常識人らしさが漂っており、何となくヘンな安心感がある。結局、最初から最後まで、戦争の非人間性みたいなものは希薄で、その点ちょっと物足りない。どっちみち「赤狩り」の時代に、これ以上踏み込むことはできなかった、という面もあるのかも知れませんが。 いずれにしても、終盤の爆撃の場面まではこれといって戦闘シーンも無く、厳しいことを言ってみせはするけど「本当はイイ人なんです」感をプンプン匂わせてしまうグレゴリー・ペックにも迫力がなく、彼に生死を左右されるであろう部下たちの反発もさらに迫力がなく、どうもイマイチ戦争の厳しさが感じられなくって。終盤に彼が参ってしまう場面を、我々はどう捉えてよいのか。そして、出撃した21機のうち、「19機も帰ってきた」と、本当に捉えてよいのか。それとも「2機は帰って来なかった」と捉えるべき、なのか。 時代的な制約はあるだろうし、今の視点で云々するのも後出しジャンケン的ではあるのだけど、どこかしっくりこないのも事実。 爆撃シーンは実際の戦闘の記録フィルムを使っていて、ある種の説得力を持たせようということかも知れないけれど、ちょっと安直な気も。何よりも、やたら淡々と飛行機が墜落していくのを、これもどう捉えてよいのやら。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-09 14:14:34) |
10.《ネタバレ》 ㈱“アメリカ陸軍航空隊”産業は社業隆盛を狙って新たにヨーロッパ支社を開設しました。新規開拓のために爆撃営業部隊がフランスで飛び込み営業を開始しましたが、営業課長は部下からの信頼は厚いけど営業成績はイマイチでした。そこで本社は課長を更迭して営業企画の部長を代わりに送りこみました。彼は部下を再教育し自らも営業現場に同行して徐々に成果をあげるまでになりましたが、営業地域がドイツ第三帝国に拡大するとライバルのルフトヴァッフェ商事が自社の商圏を荒らされて堪るかと激しく商戦を挑んできました。 判り易く解説すると本作の内容はこういう感じです。大戦終結からわずか4年でこんなユニークな戦争映画が撮られていたとは驚かされます。最近のイラクやアフガニスタンを扱った安っぽいヒーロー礼賛のハリウッド映画なんか問題外で、現代でも全然色あせない切り口だと思います。ラストのたぶんシュバインフルト爆撃作戦をモデルにしたシークエンス以外に空戦シーンはありませんが、それでも終戦直後だけあって実物のB17爆撃機が多数出演しているところはさすがです。精神的ショックでお地蔵さんみたいになっちゃうグレゴリー・ペックの演技も強く印象に残りました。 実際のシュバインフルト爆撃では出撃機の七分の一が撃墜され、帰還できても廃機処分された数も入れると実に出撃機の三分の一が消えうせたという米軍史上空前の大損害だったそうです。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-05 23:23:41) |
9.戦争映画というよりは、人間ドラマの要素のほうが強い作品。 准将の苦悩を中心にしたストーリーで、他人にも自分にも厳しい主人公の役を グレゴリー・ペックが好演している。この役者さんは、ホントにカッコいいよね。 もちろん後半は迫力あるシーンも用意されてるので、戦争映画が好きな人でも満足できると思う。 一人の部下の回想シーンで、お話が進む演出も中々良かった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-08-08 06:15:09) |
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8. 実際のフィルムを使った実戦シーンは見ごたえがありましたけど、それよりも軍人という、冷徹に部下の命を犠牲にしなければならない職業の厳しさを描いた人間ドラマとして見ごたえがありました。 【rhforever】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-05-24 11:43:25) |
7.《ネタバレ》 人情家である管理職を交代させ、ビシビシ鍛える派のサベージ准将になってから、最初は反発していた部下達も戦果と共に徐々に打ち解けていく様子が良かったです。自分に厳しいサベージ准将も相当のプレッシャーがあったのでしょう、最後の方で戦闘機に乗る前にブルブルと手が震え力が入らなくなり、精神崩壊してしまうのを見て、気丈な方ほど崩れる時は一瞬なのだなと思いました。その精神が崩壊する様子をグレゴリー・ペックは見事に演じていたと思います。彼が物語り最後の出撃の前に上官と語った際、サベージが出ていった後に、万が一の時の交代指揮官を用意しとけと言ってたのが何とも不快でしたが、そんなものなのでしょうね・・・。戦争映画ではなく、中間管理職の苦悩を書いたドラマの舞台が戦地という感じでした。6点が妥当ですがやっぱりペックカッコイイし大好きなので+1点です。 |
6.《ネタバレ》 戦争活劇というよりも皆さんがお書きになっているように管理職の苦悩を描いた作品といえると思います。後半に実戦のフィルムを多用した空中戦の場面が出てきますがそれまでの人間ドラマがあるが故に一機また一機と撃墜されてゆく爆撃機にかけがえのない多くの隊員達が乗っていることをリアルに感じます。1949年という勝った戦争が終わって4年目に何故米国万歳でもなく、ナチス憎しでもない管理職の映画が作られてまた皆に受け入れられたのかは興味深い所です。この映画でも若い隊員達から語られる「自分たちと関係のないヨーロッパの戦争に何故命を懸けて参加しなければならないのか」という疑問は大戦中米国民が持ち続けていた切実な問題であったことは確かです。管理職の悩みの原因はまさにそこにある訳です。米国の古い戦争映画を見ると常に底流にその問題が描かれていると思います。一方でヨーロッパで製作された映画は侵略国ドイツをやっつけることに何の疑問もありません。「使命から逃げる事はできない、欧州の空に米国の飛行機が満ちて戦争を勝利に導くことは素晴らしいだろう。」というのがサベージ准将の説得の言葉ですが言葉の虚しさを彼自身も感じているように表わしているところが大人の映画を思わせます。さらに上官として部下達と一体になってゆき、死地に追いやる事に耐えきれなくなってしまうというヒューマニズムがこの映画が皆に受け入れられた要因であると思いました。大人の戦争映画にこの点で。 【rakitarou】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-31 22:31:03) |
5.戦争映画の形を借りたビジネスマン(特に中間管理職)啓蒙映画。ここまで狙いのはっきりした作品も珍しいですね。ただし教育映画なので内容は…。管理職は必見。 【MEL】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-10-08 23:17:00) |
4.《ネタバレ》 購入したのは500円のDVD。チャプターもありませんが、マイク水野おすすめで見ました。 過去に何度も夕方の映画番組で見たのに、改めて見ると、、、こりゃほとんど管理職研修用の映画みたいでした。 消耗の激しい米空襲部隊。指揮官は人情家だが士気は落ち込んできています。ペック扮する准将が新指揮官になってだらけた部隊を建て直す。。。 しかしこの准将とにかく猪突猛進。最後に少し精神を病みますが、ドイツ本土空襲が成功ヨカッタネー。ってそれで終わりかいっ!その後の准将を描いてほしかったのは私だけでしょうか? 戦中の飛行機のマニアにはお勧めですね。ってとこで6点 【亜輪蔵old】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-10-29 23:29:28) |
3.う~ん…まあ、渋めの戦争映画なんだけどぶっちゃけ感動するってことはないな。グレゴリーのファンの人にはお勧めです。 【イサオマン】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2005-09-19 21:22:27) |
2.G・ペックが演じてる点や、実写フィルムを使ってる点なんかが、当時の918空軍部隊に捧げる映画としての出来の良さを高めてる。と思う 【亜空間】さん 8点(2004-03-16 00:30:58) |
1.この映画は劇場公開当時に見たあと、40年くらい経ってテレビで見ました。昭和40年代でしたかテレビでの連載ものになったときには、イメージが違いすぎて見る気もしませんでした。米国の第二次大戦参戦当時で、被害続出で戦果が上がらず士気が落ちっぱなしのB17爆撃隊のてこ入れに志願した司令官が陣頭指揮により建て直しを行うけれど最後には燃え尽き症状になってしまうまでを描いたものです。冒頭での任地での守衛の将官服を見てフリーパスさせそうな士気の弛みを、「将官服ならゲーリンクかも知れんぞ。」と言って咎めるところとか、臆病風に吹かれた部下に、ひどい命名の機に一番下手なクルーを付けて飛ばせることで叱咤激励する場面とか、自ら率いる編隊で、編隊の体形の維持を懸命に命令するあたりのシーンは記憶に残っています。ちなみに原題の「Twelve O'clock high」は正確には{Twelve O'clock」が方向(機首方向)、「high」は高位置を示すもので(このあたりは「メンフィス・ベル」とかでは良く訳されています)、編隊の前方に先回りして逆落としに指令機を狙うドイツ戦闘機の戦術に由来しているもので、邦題はその意味では明確な誤訳です。 【たいほう】さん 8点(2003-11-08 01:18:14) |