1.《ネタバレ》 先日天に召された鬼才ケン・ラッセルの劇映画デビュー作です。英国南部のさびれた海岸町ゴームレー、町おこしのためにカンヌみたいな映画祭を開催してBB(ブリジッド・バルドー)を招待しようと目論むジムだったが、そんな田舎町に人気絶頂のBBが来てくれるはずもない。そこで目をつけたのが同じフランスのセクシー女優FF(フランソワ・フェイヨール)で、アタックしたら何とOKしてもらえちゃった。かくしてお色気女優を招いて第一回ゴームレー映画祭はドタバタのうちに開幕したが、果たしてその首尾は? というわけで、町内会の夏祭りにタレントを呼んだらAV女優が来ちゃったと言う様なお話しです。「ジャック・タチの映画を研究してコメディ映画を撮った」とケンちゃんは語っていたそうですが、そう言われれば海辺のリゾートで展開するコメディなので、『ぼくの伯父さんの休暇』みたいですが、似ているのはそれだけ、まだ薄味ながらもケン・ラッセル印の毒気はしっかり出ています。市長と、金魚のフンみたいに市長と必ず一緒にくっついてくる市会議員たちが傑作で、彼らが海辺でFFと戯れるシーンはもう笑ってしまいました。そしてリチャード・レスター映画の常連であるロイ・キニアも大活躍で、60年代英国コメディには彼は欠かせませんね。ラストもなんか青春映画っぽいさわやかな終わり方で、このセンスが後に撮った傑作ミュージカル映画『ボーイフレンド』に繋がってゆくんですよ。