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<ネタバレ>個人的にクローネンバーグ作品は、昔のグロ系ホラーのイーメジが強かったので、ブルジョア達の恋愛模様をこの監督作品で見るとは思っても見なかったのですが、でもマゾヒストシーンとか、性衝動論議とか見ていると、「内容的に」クローネンバーグ作品だな~って感じがします(笑)。ユング役のマイケル・ファスベンダーもいい演技していましたが、やっぱりキーラ・ナイトレイの怪演が一番の見ものでしたね。病人であったり愛人であったり学生であったりするザビーナの役どころを演じるのは大変難しかったと思うのだが、まさに女優魂でそれを演じきってます。物語の大半で交わされる会話はまさに心理学的な台詞ばかりなのですが、ユングとオットーの間でかわされていた議論が物語を考えるベースになってくる。人はなぜ本能を抑圧するのか。ここで描かれているのはよくある愛人とのもつれ話だけれども、それを心理学的にとらえることでより深く考えることが出来る。ザビーナとユングの関係は見ていて面白かったですが、それに比べるとユングとフロイトに溝が出来ていく描写はちょっと薄味かな。まぁ、神秘主義に傾倒するユングを戒めようとして、ユングが「外在化現象」の話をするシーンは興味深かったですが。