<ネタバレ>「たくましい」の一言に尽きる、そんな作品です。
終戦直後が .. >(続きを読む)
<ネタバレ>「たくましい」の一言に尽きる、そんな作品です。
終戦直後が舞台ですから、今では普遍にあるような物理的制度的に身を守ってくれるものが何もない、
自分の身は自分で守り、自分の力で食っていく。そんな世界ですからみんな逞しくならざるを得ないのでしょう。
日本の歴史の中で最も開業率が高かったのは、実はこの終戦直後なのだと言われてますが、その中から世界的な企業に育った会社がいくつもあります。
守ってもらえるものがない環境では、自立精神が育つのだろうなとも思います。
そんな環境では人々は動物的といいますか、野生的な生き様を見せつけてきます。
牛の解体シーンは地獄の黙示録を彷彿とさせる刺激的映像でありましたし、
宍戸錠が戦時光景をフラッシュバックさせながら野川由美子とまぐわうシーンはなかなかに衝撃的でありました。
「人間らしくなるってことは生きていけないことなの?」は名言です。
自分は脱落者になったけど、脱落者としての幸福を死ぬまで離すまいと思った、が締めのセリフ。いや凄い。
映画としては、各娼婦がそれぞれ赤黄緑などの原色ドレスを着ていて、照明やセットなんかみてると意図的に舞台劇っぽくしてる感じがします。
そして二つの映像を一つに重ね合わせるシーンも度々あって実に意匠的。忘れ難いシーンを積み重ねてできた、忘れ難い一本。