京劇「覇王別姫」の物語とそれを演じる二人の男の物語が重なり合 .. >(続きを読む)
京劇「覇王別姫」の物語とそれを演じる二人の男の物語が重なり合ってゆく様が、美しくもせつなく描かれてゆく。(今となってはレスリーの人生までもが重なり合っているようだ。)この作品は京劇を介して出会った二人の男の、京劇を背景とした愛と友情の絡み合った人生劇が描かれると同時に、時代に翻弄される京劇と、時代に翻弄される人々という歴史ドラマが重厚に語られてゆく。この歴史ドラマの部分が物語が進行するにつれて画面を支配するようになる。中国激動の近代史がこのドラマにとって重要な要素であることは間違いないところではあるし、この時代を描くこと自体が中国映画としては非常に革新的であるため、「時代」が前面に出てしまうのはやむをえないところもあるかもしれないが、「時代」はあくまで背景として描いてほしかった。素晴らしい映画であるが、時代が大きく動くまでの見せ方で激動の時代を見せてくれたら、もっともっと素晴らしい映画になっていたに違いない。