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あくまで西部劇なのであって。全然ホラー映画でも何でもないんですが、映像が妙にコワい。雰囲気が暗い。冒頭からいきなり「追跡」されているらしい主人公、そこに至るまでの経緯が彼の少年時代から描かれていきます。何から何までが救いのない絶望の人生、と言う訳ではないけれど、人に憎まれるため、命を狙われためだけに生まれてきたような、暗い運命を背負った主人公。ロバート・ミッチャムの飄々としたイメージが、ここでは虚無的な表情へと繋がります。
ストーリーだけ見れば、いくら何でもそこまで彼が追い詰められる必然性は無いんじゃないか、ということになるのでしょうが、映像の力がそんな疑念を跳ね飛ばしてしまい、我々をこの悲劇の世界へと引きこんでいきます。
終盤の追跡劇が繰り広げられる荒野の光景も、凄いですね。
原題は「Pursued」。これは、追跡される主人公自身を表しているのか、それとも彼が追い求める「過去」を表しているのか。