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エンドロールのクレジットを眺めてると、音楽を演奏してるのが、キーロフ管弦楽団及び合唱団、指揮ヴァレリー・ゲルギエフ、なんて書いてあってビックリ。音楽にも「ロシアの響きが欲しい」ってコトなんですかね。なんという贅沢。ま、正直、聞いててもまーったく気づきませんけれども。このオケは今では“マリインスキー劇場管弦楽団”という名前のハズなんですが、わざとソ連時代の名前でクレジットした、ということなのかどうなのか。
キャスリン・ビグローはこの後、めっきり「リアリティ最優先主義」みたいになっちゃって、面白味に欠けてくるのですけれども、本作はまだ、実際の事件に取材しつつもしっかりとエンターテインメント作品になってます。すでに少し「実話」に引きずられてる中途半端な印象も無くは無いですが、そもそもおよそ軍人らしからぬハリソン・フォードを艦長役に据えている時点で、リアルさとは相容れないものがあり、ハリソン・フォード自身は抑えた演技でリアリティに貢献しているつもりかもしれないけれど、やっぱり節々にチャラい身振りが出てしまう、そういったあたりの微妙なバランスは、作品の魅力にもなってます。
米大統領役も演じたことのあるスターの彼が、ソ連原潜の艦長役。まあ、「ソ連のことを悪く描くつもりはないんです」という作品の姿勢の表れ、なんでしょうか。
潜水艦内という閉鎖空間での原子炉事故、というサスペンスに加え、人間同士の対立などもあって、作品には緊迫感が溢れていますが、一方で中盤の、乗組員たちが氷上でサッカーに興じる光景などには、心和むものがあり、印象に残ります。