原作の松子が愛しくてたまらないわたしにとっては、観るに堪えな .. >(続きを読む)[良:2票]
原作の松子が愛しくてたまらないわたしにとっては、観るに堪えない、悲しい映画。
この映画は、1ミリも松子を描いてなどいない。
おそらく監督は、松子になどなんの興味もなかったのではないか。
どんな仕事をしてもトップになれるほど聡明で努力家な松子は、愛を乞うあまり、愛に翻弄され堕ちてゆく。
そんな受動的な松子の人生は、しかし、ささやかな幸福を夢見る一途な乙女の姿でもある。
その生涯を、柴咲コウ演じる明日香の「決意」によって否定するかのようなラストは、あまりにも解釈が甘い。
ハイコントラストの極彩色に、軽妙な音楽で味付けした中島ワールドは、松子をただの不運な女に貶めてしまった。
この人が撮りたいのは「映画」ではなく、「映像」か、もしくは「画面」だ。[良:2票]