「まったくひどい」という神父に「それが世の中だ」と答えるイー .. >(続きを読む)[良:3票]
「まったくひどい」という神父に「それが世の中だ」と答えるイーストウッド。
このセリフに彼のこれまでの作品に内在するテーマが見てとれるのだが、本作ばかりはややテイストが違う。
なんとも微笑ましい前半部、近年のイーストウッド作品ではすっかり影を潜めていた“笑い”がこの作品にはあり、かつてのイーストウッド映画を想起させ、それだけでもなんだか泣けてくる。
ダンディズムの象徴みたいなイーストウッドが、少年タオに男の口のきき方、女の子の誘い方を伝授するシーンの温かさ、演出の巧さには鳥肌が立った。
ストーリー自体は極めてシンプルだが、それでいてラストの懺悔シーンとその後の結末の現わすところの深さは尋常ではない。
さらにさらにそれでいて、後味は信じられないほど穏やか。
彼のこの偉大な作品に込められた遺言は、きっと遠く遠く先の世代にまで届くのだろうと思う。[良:3票]