うんざりするほど繰り返される暴力シーンと汚い言葉から、ボロボ .. >(続きを読む)
うんざりするほど繰り返される暴力シーンと汚い言葉から、ボロボロに傷ついた魂の叫びが聞こえてくる。
それは、慟哭であり、渇望である。
そんな主人公と出会う少女は「幸福な家庭」と嘘をつきながらも、実は彼と同じ痛みを抱えている。
魂が呼応し合うように惹かれあう彼らは、決してそれぞれの境遇を語り合ったりなどしない。
ただ、意味もなく共に過ごすことで同じ痛みを分かち合う。
漢江の畔で彼は少女の膝枕で涙を流し、彼女は声を殺して優しく泣くシーンでは、そんな二人のむき出しの哀しみに胸を打たれた。
全編に張り詰める緊張感と漲るパッションはとにかく圧倒的で凄みのある映画だった。
そして、これ以上ないくらい純真で優しい物語だった。