「差別」この人間社会における普遍のテーマに対して、真っ向から .. >(続きを読む)[良:2票]
「差別」この人間社会における普遍のテーマに対して、真っ向から取り組み、差別の構図に肉薄した、骨太な社会派映画である。私の心に深く残っている作品だ。
「差別的な行為を傍観することはそれに荷担したことになる」本作の中でグレゴリー・ペック演じるフィルは言う。
至極尤もで反論の余地などない。
しかし、このような「正義」を振りかざすことは、また次の争いや差別の種になるということも、一方で悲しい現実であるということは言えないだろうか。争いは常に正義と正義のぶつかり合いである。
「差別」の原因・背景については掘り下げることがなかったという点もやや残念だ。
とはいえ、先述したように、決して浅はかなものにはなっていない。
この難しいテーマを、極めて真面目に誠意をもって取り組んだ本作を、私は称えたいと思う。
翻って、この素晴らしい作品を観て、カザンの生涯を思うとき、あらためて思うのだった。「正義とは自分の良心にこそ、突きつけるものだ」と。[良:2票]