家族の肖像の絵画に囲まれ、家族に対する憧れを抱く教授。そこに .. >(続きを読む)
家族の肖像の絵画に囲まれ、家族に対する憧れを抱く教授。そこに現れた口うるさい貴婦人を中心とした崩壊寸前の家族と美男子。孤独を願う教授と世間を知らなさすぎると罵る若者達。電話のシーンの多用がそれとなく、教授と若者達との価値観の違いを浮きぼらせる見事な演出だ。そして次第に美男子コンラッドだけに惹かれていく。「ベニスに死す」ほどの同性愛的な描写は感じないが、教授がコンラッドを意識し始める過程が見事に描かれている点も素晴らしい。それと、貴婦人達がテラスに出るシーン、なんと絶景のことか。あまりに綺麗すぎて巻き戻して何度も見てしまったほど。「地獄に堕ちた勇者ども」の家族の崩壊から一転、家族に対する憧れが描かれている今作。ルキノ・ビスコンティの思いが詰まった作品だ。