馬鹿馬鹿しいことを、しっかりとお金と労力をかけて覚悟をもって .. >(続きを読む)
馬鹿馬鹿しいことを、しっかりとお金と労力をかけて覚悟をもって貫き通すこと。それが良いコメディ映画を生み出すための条件だと思う。
この作品の製作スタッフは、そういうことを誰よりも理解しているからこそ、世界中に受け入れられるコメディが作れるのだと思う。
エドガー・ライト監督&サイモン・ペッグ+ニック・フロストの主演コンビの「ショーン・オブ・ザ・デッド」、そして監督は異なるが同主演コンビの「宇宙人ポール」を既に観ていて、それぞれ映画ファンなら殊更に爆笑必至の素晴らしいコメディ映画の世界観を堪能していた。
前述の二作品がそれぞれ「ゾンビ映画」と「宇宙人映画」のパロディを存分に詰め込んだ作品だったのと同様に、今作の“対象”は、もちろん「刑事映画」。
「刑事映画」、その中でも特に“バディ映画”におけるベタと王道が、可笑しみと愛着をもって見事に散りばめられている。
中でも、「ハートブルー」をパロディの中心に据えていることが、非常に局地的なツボを突いていて良い。
この手の映画としては、120分という上映時間は正直「長い」と感じる。中盤において若干の中だるみ感を感じてしまったことは否めない。
しかし、ラストの怒濤のクライマックスは、そういうマイナス要素を吹き飛ばしてくれる。一見滅茶苦茶で何でもアリな展開に見えるけれど、それまでの人物描写が何気なくも人物それぞれの異質さを表しており、用意周到な伏線となっている。
だから、滅茶苦茶に見える展開にも妙に説得力があり、「娯楽」として見事に高まっている。
ついに最後にはモンスターパニック映画から東宝映画オマージュまで加わり、映画ファンのカタルシスを一気に高めてくれた。
充分満足できる映画であることは間違いない。が、"彼女”がケイト・ブランシェットだということに気がつけなかったことは、この大女優のファンとして情けない。