<ネタバレ>惨殺された娘家族の復讐に静かに燃えるフランス人。彼の冷ややか .. >(続きを読む)
<ネタバレ>惨殺された娘家族の復讐に静かに燃えるフランス人。彼の冷ややかな小さな瞳は、まるで復讐という本能のみで息づいている昆虫のようで、釘付けになる。
偶然出会った3人の殺し屋と互いに引かれ合い、理屈ではない絆を深めていく。
香港ノワールの渋い世界観がクライマックスに至るまで貫き通され、「傑作」の予感はあった。
しかし、残念ながらこの映画は傑作とは言い難い。
3人の殺し屋たちが、死を覚悟して約束を守り通そうとする銃撃シーンまではとても良かった。
特に、リーダー格を演じるアンソニー・ウォンの死に際の笑みはとても格好良く、香港を代表するベテラン俳優らしい存在感に溢れていた。
ただその壮絶な銃撃シーン以降、一気に失速してしまう。
一人残された男は、絆を深めた3人の殺し屋たちの弔いも含めて、復讐という目的を果たすために立ち上がる。
もうそうなれば、残された顛末は一つしかないわけだから、目的を果たしシンプルにエンディングに繋げるべきだったと思う。
敵のボスを追いつめて、いやに長々しい銃撃シーンをさらに繰り広げる。しかも、記憶を留めることが出来ないという主人公の設定がしつこく付きまとい、まどろっこしくスピード感が無かった。
そもそも、その主人公の設定はそれほど必要だったとは思えない。彼のその設定がなければ、物語はもっとテンポよく進んだと思うし、それが無くとも殺し屋たちとの絆は深められたと思う。
ラストは結局一人で大立ち回りをして目的を果たしてしまうわけだから、ちゃんと順序立てて準備すれば殺し屋たちが死ぬこともなかったんじゃないかと、つまらない文句をつけさせてしまう映画だった。
終盤までは期待を持たせる映画世界を繰り広げていただけに、残念な仕上がりだった。