遺跡発掘現場にて会した“訳ありの一族”。周囲から忌み嫌われる .. >(続きを読む)
遺跡発掘現場にて会した“訳ありの一族”。周囲から忌み嫌われる夫人が殺される。
アガサ・クリスティの原作のみならず、もはやミステリーそのものの大定番の舞台設定の中で、物語は展開していく。
はっきり言うと、用意された「真相」も、“定番”であることは否定できない。
並のミステリーであれば、“オチ”の正体を薄々感じさせるストーリーなど、退屈過ぎ馬鹿らしくて追っていられない。
ただこれがアガサ・クリスティの「名探偵ポワロ」である以上、“退屈”なんてものは存在しない。
何となく真相は見えつつも、デヴィッド・スーシェ扮するポワロの推理劇に身を任せることを厭わない。予定調和の中に身を置くことに、むしろ心地良ささえ感じる。
砂漠の灼熱の中で突如発生した謎が、陽炎のように大きく膨らみ、名探偵により束の間の実体を見せ、去っていく。
アガサ・クリスティらしい叙情的なミステリーに、安心して没頭させられる。
P.S.「ハムナムトラ」シリーズのジョン・ハナーが出演しており、明らかに「砂漠の遺跡発掘現場」という舞台設定を意識したキャスティングにほくそ笑んだ。